コアラの主食として知られているユーカリは、世界におよそ700種ほど存在し、その多くはオーストラリアが原産です。主にパルプ用として世界の熱帯・亜熱帯・温帯地域で造林されています。精油の含有量も多く、一般的なハーブの約10倍ほど含まれていると言われています。一方で、その含有量が故にオーストラリアで毎年のように発生する森林火災ではユーカリの精油成分が延焼を広げる要因でもあります。
余談になりますが、20年ほど前にゴールドコースト近くにあるヌーサ国立公園を散策している時に、野生のコアラが遊歩道を歩く姿を見かけたことがありますが、その見た目とは違い、かなり機敏な動きで遊歩道を闊歩していたのを覚えています。コアラは一日の大部分を木の上で過ごし、18時間以上は寝ている動物で、地上に降りている姿の見るのは稀なのである意味、貴重な体験でしたが、木の上に座り、ひたすらユーカリを食べて、寝ている姿が本来のコアラでしょうか。ちなみにコアラの由来は、オーストラリアの原住民であるアボリジニの言葉で、“水を飲まない”意味から名づけられています。また、ユーカリは、忌避効果が高いことが知られています。
ユーカリの香りの成分について研究を行っている西村弘行教授(北翔大学・北翔大学短期学部)によるとユーカリの葉に含まれる香り成分であるテルペンが要因とされています。このテルペンは子孫繁栄のために他の植物、蚊やハエなどの害虫からから身を守り、かつ他の雑草などの生育を阻む働きがあるとされます。そのテルペンがオーストラリアの森林の空気中に大量に放出されることで、害虫から身を守れるのもユーカリの大きな特徴と言えるでしょう。また、西村教授が実施したユーカリ精油の忌避効果の実験によると、成虫の蚊を放ってユーカリの精油を施した場所と無処理における吸血虫数より忌避率を算出したところ、以下のような結果になりました。※抜粋
レモンユーカリ
精油濃度1% 吸血忌避率90% / 精油濃度0.1% 吸引忌避率24%
参考:忌避率(%)=(無処理区の吸血虫数)ー(ユーカリの処理区の吸血虫数)÷無処理区の吸血虫数×100
この実験結果によると、レモンユーカリの精油には明らかな蚊に対する忌避効果があることがわかります。但し、ユーカリにも注意すべき点があります。常識的にはあまり考えられませんが、ユーカリの精油を誤って5ml以上飲んでしまうと、場合によっては致死量になることもあるようです。稀なケースですが、特に小さなお子様やペットの誤飲にはくれぐれもご注意を。